心理学で学んだことを職場の人間関係や仕事に生かす方法

「心理学」という学問の名称を聴いたことのない人はいないでしょうし、それがどのような学問なのかという大体のイメージは、おそらくみなさんお持ちなのではないかと思います。

しかし、それがどのような分野から成り立っていて、どのような研究方法や成果があるのか、研究成果が実社会でどのように応用できるのか、漠然としたイメージしか思い浮かばないという方がけっこう多いのでないでしょうか。

この記事では、心理学がどのような学問なのか、あらためて全体像をお伝えするとともに、職場の人間関係や仕事に実際活かせる知識をピックアップしてご紹介します。





実証的心理学と臨床的心理学

心理学と聞くと、「カウンセリング」を思い浮かべる人が圧倒的に多いようですが、心理学の分野はもっと広大です。

○○心理学と名の付く学問分野も非常に数多くあり、教育心理学、認知心理学、社会心理学、発達心理学、犯罪心理学、臨床心理学、健康心理学……などなど、多岐にわたっています。

いろいろの分野と方法論が存在していますが、大きく二つに分けるとすると、「実証的」な分野と「臨床的」な分野に分類できます。

ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、このような研究方法の種類についての知識は、他の分野の仕事にもとても役立ちます。

実際わたしたちが職場で直面する問題や課題は、実証的にアプローチすべきこと、臨床的にかかわったほうがよいことがあり、この考え方を区別して使い分けることに、実務上の意味があるのです。

・実証的心理学

実証的な研究とは、ひとことでいえば、科学的な「観察」や「経験」によって知識を得る方法のことです。

観察や経験で得られた情報は、質的なデータと量的なデータなど、データの性質によって分類され、それぞれ専門的な手法を使って分析されます。

仮説を検証するために集めた証拠(データ)を定量化し、その解釈を理論の助けも借りながら通していく、という流れで研究をします。

心理学の分野では、このような手法を使って、人間の記憶、思考、感情、コミュニケーション、社会行動といった現象を科学的に研究します。

・臨床的心理学

精神障害や心身症、心理的な問題や不適応行動などの援助、回復、予防を目的とする研究です。

心理学には、全般的な人間心理に焦点をあてる「基礎心理学」と、特定の人間心理に焦点をあてる「応用心理学」という分類の仕方もありますが、臨床心理学はこの後者に含まれます。

医療の対象となる可能性のある人々への、心理学的援助を目的とした学問分野の一つです。

また、精神的健康の保持・増進・教育を目的とした予防医学的な関わりをもつことも目的の一つとしていて、精神医学との関わりが深い分野です。

臨床心理学を学問的基盤とする心理職の専門資格に、「臨床心理士」があり、指定された大学院等のカリキュラムを修了して、さらに試験に合格しなければ資格を取ることができません。

どちらの分野も、大学の専攻としては文系に位置づけられることが多いですが、研究の内容や方法からして、文系と理系にまたがる分野、といえます。

以下、実証的な心理学の研究成果や臨床心理学の考え方が、職場の人間関係や仕事にどのように活かせるか、具体例を使って紹介していきます。

記憶:タスク処理やスキル獲得に活かす!

「記憶」という言葉を聞いて、意味が分からない、という人はいないだろうと思います。 しかし、心理学の研究で扱われる「記憶」はもっと厳密に定義されていて、その内容もとても精密なものです。

まず、「記憶」の心理学的な定義は、「過去の経験内容を保持すること」(ちなみに、スケジュールなど未来の予定に関する記憶は「展望記憶」と呼ばれます)。

記憶、というと英単語や年号の「暗記」のようなものをまっさきにイメージする方も多いかと思いますが、実際にはもっと広い日常的な活動の土台になっているのが、「記憶」です。わたしたちが日ごろ何気なくしている行動のほとんどは、過去のさまざまな経験の積み重ねの上に成り立っているのです。

記憶は、「感覚記憶」、「短期記憶」、「長期記憶」の3つの機能に分類されます。

1.感覚記憶

わたしたちは、普段意識することはありませんが、外の世界の情報を取り込む時、「それは何の情報か」という意味的な処理を加えるまで、感覚器官に一時的に保存しています(視覚についての感覚記憶は「アイコニックメモリー」、聴覚についての感覚記憶は「エコイックメモリーといいます」)。感覚記憶の保持時間はとても短く、1秒以下です。

そして、感覚記憶のうち、注意をひいたものだけが、次の「短期記憶」に送られます。

2.短期記憶

聞き取った電話番号を一時的に頭の中で覚えるなどの短期の記憶の保持は、「短期記憶」と呼ばれて「長期記憶」とは区別されます。短期記憶に保持できる容量や時間には制限があって、周囲の妨害の影響を受けて消えたり変わったりしやすい、という性質があります。短期記憶の容量は、約7項目で、記憶される意味的まとまりの単位を「チャンク」と呼びます。

経営学で、一人の現場リーダーが一度に直接管理できる部下の人数は7名が限界、ということがいわれていますが、それはこの短期記憶の容量の限界が関係しているのです。

3.長期記憶

短期記憶のうち、ずっと保持していく必要があるものは、意識的にリハーサル(記憶した内容を何度も心の中でくりかえすこと)を通して、長期記憶に移行させます。

長期記憶の容量は、ほぼ無限と考えられています。保持時間も長く、数日、数年、あるいは一生にわたって、保持されます。

長期記憶は、記憶している内容の違いによって、一般的知識として体系的に蓄えられる「意味記憶」、個人的な出来事に関する「エピソード記憶」、さまざまな身体的技能や条件づけによって体にこびりついた「手続き記憶」に分類されます。

あくまで一般的な傾向ですが、どちらかというと男性は意味記憶が優位で、女性はエピソード記憶が優位といわれています。「あなたあの時、ああ言ったよね!」みたいに過去のエピソードを細かく覚えている人に突っ込まれて困った経験のある人も多いのでは?また、趣味など自分の興味のある分野についてはまるで百科事典のような知識を持っている人など、どのような内容の記憶が得意か、ということに個性が表れます。こういった違いは人間関係や仕事の適性などにも影響するものですので、すこし意識してみるとよいかと思います。

対人認知:マネジメントや広報、コミュニケーションに活かす!

他者についてのさまざまな情報から、その人の性格を推測したり、行動を予測したりというその人の内面について主観的に推論することを、心理学用語で「対人認知」といいます。対人認知の研究は、心理学者アッシュ(Asch)の「印象形成」についての実験からはじまったとされています。

印象形成とは、対人認知のうち、他者についての断片的情報からその人の性格(パーソナリティ)を推測して、その人の印象をつくりあげるプロセスのことです。

アッシュは、他者の全体印象をつくりあげるプロセスは、個々の情報をモザイク的に加算したり、平均したりするのではなく、全体印象を決定づける「中心的特性」を核として印象を形成すると主張しました(これに対して、印象の決定に影響しないものを「周辺的特性」と呼んでいます)。

印象形成には、どのようなものがあるのか、具体的に以下にいくつか挙げてご紹介します。

・ピグマリオン効果(教師期待効果)

はじめは事実ではなかった他者に対する「予言」が、その他者との接し方に影響を与えて、やがて本当のこととして「的中」することを「自己達成的予言」といいます。学校での教師と生徒の関係にみられるような自己達成的予言を、特に「ピグマリオン効果」と呼びます。いわゆる「先生のお気に入り」の効果です。期待された生徒は、自分に自信を持ってより成果をあげやすくなり、期待されない生徒は結果を出しても評価されないことを学習して、意欲が低下するなど、先生の最初の印象が生徒の後の成績に影響してしまいます。このような現象は、もちろん会社の人事評価や評判といった現象についてもあてはまります。

・ハロー効果(後光効果)

ある人が何か目立って良い(悪い)特徴を持っていると、その人が持つそれとは無関係な特性まで良い(悪い)ものとして認知されてしまいがちな現象のことです。たとえば、外見の良い(悪い)人は、人柄まで良く(悪く)見られてしまいがちです(「アバタもえくぼ」ということわざは、このことを表したものです)。これも人事評価の際にはたらきやすいバイアスの一種として知られています。

・ステレオタイプ

これは、一般にも普及している言葉です。人種や所属、出身地など、外部から観察しやすい一部の特徴によってその人の「カテゴリー化」を行い、そのカテゴリーに一般的であると考えられている特性をそのままその個人にあてはめようとする現象のことです(関西人はお笑い好き、など)。そこでは、個人差や各々の事情は無視され、社会で一般的に抱かれている画一化された考え方が一方的に採用されてしまいます。

このように、対人認知とは、他者の内面を推測する心理プロセスのことをいいます。人は自分の推論にかなりの自信を持っているものですけれど、実際にはあいまいさや不確実さがつきまといます。

ビジネス上のコミュニケーションや人間関係を分析するのに、この対人認知についての知識が役に立つことがあります。

集団(グループ):社内政治やマーケティングに活かす!

心理学には、個別の人間の基本的な心理を研究する分野のほか、さまざまな集団の中に置かれた場合の個人間の心理メカニズムを研究する分野もあります。

心理学の言葉で定義すると、「集団(グループ)」とは、複数の人びとから構成され、地位や役割の関係が成立し、なんらかの規範が存在する「システム」のことです。

集団に所属するメンバーは、いろいろ相互作用した結果、「地位」と「役割」を獲得します。そして、地位と役割に代表される各メンバー間の配置関係を「集団の構造」としてとらえるのが、心理学的な発想です。

集団の構造は、次の3つの次元で分析することができます。

1.ソシオメトリック構造

集団内での各メンバーの感情レベルの結びつきの度合いを分析して、メンバー間の関係や集団の中での地位・役割を整理したものです。ある活動を誰といっしょにやりたいか(やりたくないか)という関係を中心に集団構造を分析する方法が有名です。これはメンバー間の親和関係と敵対関係(誰と誰は仲が良く、誰が誰に対して反発しているなど)を示す非公式な集団データといえます。

いわゆる社内政治に強い人というのは、この構造についての情報収集とそれをふまえた立ち回りに熱心な人のことです。

また、社内だけではなく、営業職などは、業界や顧客企業内のソシオメトリック構造についての情報収集が必要です。

2.コミュニケーション構造

集団内の情報伝達ネットワークの仕組みを「コミュニケーション構造」と呼びます。会社組織などの公式の集団では、この構造が明確に規定され、誰でも参照できるようになっているのが普通です。文書の回覧や共有の仕組み、受発注の仕組みなどもこの構造の一種です。仕事をスムーズに進めるためには、この構造をきちんと把握する必要があります。

3.権力構造

集団内の各メンバーが役割を持つようになると、その役割に伴ってあるメンバーが他のメンバーに対して一定の影響力を持つようになります。この影響力のことを「権力」と呼び、集団内での権力の関係を「権力構造」と呼びます。言い換えれば、「支配」と「服従」の関係のことです。具体的には報酬や罰を与える能力、その人が持つ専門知識や特殊技術の市場内での需要などが、権力を生じさせる要素になります。

組織や市場の中でうまく立ち回るためには、この権力構造の問題についても考えなくてはなりません。

クリエイティブシンキング:創造性と問題解決を仕事に活かす!

心理学では、思考についての専門的研究もなされています。特にここでは、クリエイティブシンキング(創造的思考)についてのトピックを取り上げましょう。

創造的な思考では、「問題発見」と「問題解決」の独創性が特に重要な位置を占めます。

問題発見や問題解決における「ひらめき」は直感的な要素が大きいため、実証的な研究をするのに難しいところがありますが、最近は人口知能研究や経営学のからみで注目され、研究自体は活発にされています。

ちなみに、創造性に関する要因として、心理学者のギルフォード(Guilford)は、以下のものを挙げています。

  • ①問題への感受性
  • ②思考の流暢さ
  • ③柔軟性
  • ④オリジナリティ
  • ⑤再定義の能力(一つのものに今までとは別の用途を見出したりする能力)
  • ⑥綿密性

創造性は、すぐに身につけられるようなものではないように感じられますが、誰でも視点を少し変えたり、一工夫を加える習慣をつけることで、より創造的になれる機会をつくれるようになるのではないでしょうか。では、もう少しクリエイティブシンキングに関する知識をご紹介しましょう。

・収束的思考と発散的思考

創造的思考のうち、「問題発見」に使われる思考として、次の2つがあるといわれています。

①収束的思考:論理の必然性をたどって一つの解答に到達する思考 ②発散的思考:解答が一つに収束しないで、いろいろな可能性についてできるだけ多くのアイデアを出していく思考

会議でよく使う「ブレーンストーミング」という手法は、グループで発散的思考をするためのものですね。発散的な思考は、これまでにない新しい発想を生み出すのに、重要な役割を果たします。しかし、発散するだけでは、出したアイデアを社会で役立つものとなるようにすることができません。照準を定めたら、収束的思考でアイデアを絞っていくプロセスも必要になります。

・問題解決

問題解決の心理学的な定義は、「目標に到達するために障害を取り除いたり、乗り越えたりする方法を発見すること」です。

問題解決にいたるプロセスについて、多くの研究者がまとめています。なかでも、有名なのはワラス(Wallas)による次の分類です。

  • ①準備期:問題を分析して、情報を集める段階
  • ②孵卵期:無意識での作業が進行する「あたため」の段階
  • ③啓示期:解決方法がひらめく段階
  • ④確認期:解決方法が正しいかどうか確認する段階

問題解決のアイデアがひらめくまでに、準備と試行錯誤の時間が必要、ということが指摘されてます。

逆に、問題解決を妨げる要素としては、次のものが指摘されています。

①機能的固定

特定の素材が特定の使い方に固定され、他の使い方が思いつかないこと、を「機能的固定」を呼びます。たとえば、ある事業で使用している設備を、他の事業の別の用途に転用することを思いつけず、別々に設備を購入してコスト高になるなど。

②構え(セット)

先に経験によって問題に対する特定の「構え」が生じ、それによって問題解決が妨げられることがあります。一度似たような場面でうまくいかなかったからといって、他の場面にその条件があてはまるとは限らないのですが、私たちは知らず知らずのうちに、経験にだまされてしまいます。

③隠れた制約

経験や習慣によって、問題に含まれていない「制約」を勝手に付け加えてしまうことがあります。未経験だからこの案件にはかかわれないだろう、自分がこの問題に進言しても受け入れられないだろう、このシステムにはこういう機能は備わっていないだろう……いつの間にか自分の中で、みえない「制約」を付け加えていることはないでしょうか。

このようなことを頭に置いて、ご自身に問題に取り組んでみてください。

次に、臨床心理学について、内容を少し詳しくご紹介します。

冒頭にも書いたとおり、臨床心理学は心理学的援助を目的とした学問分野の一つで、精神的健康の保持・増進・教育を目的とした予防医学的な関わりをもつことも目的の一つとしています。

臨床心理学に基づいた知識と技術で援助する専門職は、日本では、心理カウンセラー、サイコセラピスト、心理士、心理相談員など、さまざまな名称で呼ばれています。

臨床心理士は、これらのうち、(財)日本臨床心理士資格認定協会の認定をうけている、日本の代表的な心理専門職資格です。

臨床心理士が担う心理援助は、心理アセスメント、心理面接、地域援助の3つが大きな柱となります。そのうち、心理アセスメントと心理面接について、みなさんにも役立つような知識を少しご紹介しましょう。

1. 心理アセスメント

アセスメントとは「査定」という意味です。クライエントの問題の状況や課題などを面接や心理検査などによって明らかにし、自己理解や支援に役立てます。

心理検査は、採用試験等企業でも使用する機会がありますが、臨床心理的な目的で行う検査は、心の問題を明らかにして困難を軽減し、問題の克服に向けた援助をするために使われます。

また、すでに問題をかかえている人だけではなく、ストレスチェックなど、こころの問題の予防のための早期発見のためにも使われます。

皆さんが実務のなかで心理アセスメントを使用する機会はほとんどないと思いますが、もし人事目的などで利用する立場になった時は、取り扱いかた、活用のしかたに十分気をつけてください。収集する内容は個人の内面にかかわることで、「個人情報保護」の観点からも注意が必要ですし、間違った活用方法はその人の尊厳を傷つけることになってしまいます(本来心理検査を採用などの選別目的で使用することは、倫理違反とされています)。

逆に上手に活用すれば、現在のこころの状態について整理する、有力なツールになります。セルフチェックで自分のことを理解するたすけにもなりますので、活用してみてもいいでしょう。

2. 心理面接

心理カウンセリング・心理療法といわれるものです。相談に来られる方々の課題に応じ、さまざまな臨床心理学的方法を用いて、心理的な問題の克服や困難の軽減にむけて支援します。

具体的には、下記のような手法を用います。

  • 心理カウンセリング
  • 遊戯療法
  • 遊戯療法
  • 芸術療法
  • 夢分析
  • 認知行動療法
  • 精神分析
  • 来談者中心療法
  • 行動療法
  • 家族療法
  • 動作法
  • 集団療法 など

もちろんこれらの手法は、専門的な訓練をしっかり受けた専門職のみ他人に対して適用することが許されるものです。

しかし、その考え方は、一般の人も活用できるような視点をふくんでいます。

今回は、カウンセリングの基礎である「傾聴」と「認知行動療法」から、みなさんにも役立ちそうなトピックを抽出してご紹介したいと思います。

傾聴:コミュニケーションと人間関係に活かす!

世の中にはさまざまなカウンセラー資格が存在していますが、どの資格にもふくまれる要素に「傾聴」があります。

傾聴とは、相手が思っていること、感じていることを、ありのままに受け止めながら聴く技術です。

臨床心理士などの専門職が行う「カウンセリング」は、この傾聴に加えて、先にも書いたとおり、心理的な手法を活用して、問題を解決することを目的とします。そのために心理アセスメントや面接を使って、問題の分析と解決のためのアプローチを行う、というのが決定的な違いです。

資格を持っていない一般の人がカウンセリングを行うことはありませんが、「傾聴」のスキルを身につけることは可能です。そして、そのスキルは職場の人間関係やコミュニケーションにも活かすことができます。

本格的なカウンセリングは、面談室で比較的長時間のセッションを繰り返す必要がありますが、傾聴を行うのに、まとまった時間や特別な場所は必要ありません。日常の気軽な会話のなかでも、傾聴の使用頻度は非常に高いです。

傾聴を行っただけで問題が実際に解決することはまずありませんが、傾聴して話を聴いてもらえると気持ちの整理がついて、自分で解決の糸口をみつけられることも少なくありません。

さて、どのように傾聴をするのか、もう少し具体的にご紹介しましょう。傾聴とは「相手ののことをよりよく理解し、よい関係を築くために、相手の話をそのまま受け止めながら聴くこと」です。

この、「そのまま受け止めながら聴く」というのは、ただ黙って話を聴く、という意味ではありません。

自分が話をしている時、相手のリアクションがなかったら、「ほんとうに聴いているの?」と感じてしまいます。

さて、どうすればいいのか、ということについていろいろな技法や考え方があるのですが、ここではシンプルにお伝えしたいと思います。

たいていの人は、自分が抱えている問題について、「でも、これはこうだよね」と正論で返されたり、「それは違うんじゃない?こうすべきだよ」と説教やアドバイスで返されると、それ以上話をする気にならなくなってしまいます。

話し手は、ただ自分の気持ちをわかってもらいたくて話をしているので、聴き手側の「答え」を求めているわけではありません。

そうならないためにも、まず話し手が安心して話せるような笑顔や親身な態度で、相手の気持ちを汲み取りながら話を聴いていきます。

相手の話している「内容」だけではなく、相手の表情、視線、身ぶり、仕草、声のトーンなどにも意識を払ってみましょう。相手のこころの状態が間接的にみえてくるはずです。 そして、そういったことを感じ取りながら、「はい」「ええ」「うん」「そうなんですね」といったあいづちを挟んだり、時折うなづきながら聴いていきます。

さらに、相手が言ったことをオウム返しにして繰り返すことや、「それは大変でしたね」など、気持ちを汲み取る言葉を伝えながら聴きます。

話し手は、対話をして「自分の話を聴いてもらえた」と感じたら、それだけでも気持ちが落ち着きます。特に苛立ちや不安、寂しさや苦しさなどの感情は言葉に出して受け止めてもらえただけでも、気持ちが楽になる効果があります。

ぜひ、「傾聴」の考え方をあなたの日常生活や職場でのコミュニケーションに活かしてみてください。

認知行動療法:行動改善に活かす!

認知行動療法とは、「認知」に働きかけて気持ちを楽にする心理療法の一手法です。(ここでの認知とは、ものの受け取り方や考え方という意味です)。

ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追いこまれていきます。認知行動療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。

私たちは、自分が置かれている状況を絶えず主観的に判断し続けています。これは、通常はうまく行われているのですが、強いストレスを受けている時やうつ状態に陥っている時など、特別な状況下ではそうした認知に「歪み」が生じてきます。

その結果、抑うつ感や不安感、非適応的な行動が強まり、さらに認知の歪みが引き起こされるようになります。

認知行動療法では、「自動思考」と呼ばれる、気持ちが大きく動揺したりつらくなったりした時にどうしても頭に浮かんでしまう考えのパターンに目を向けて、それがどの程度現実と食い違っているかを検証し、思考のバランスをとっていきます。

このようにしてバランスを失ったこころの軌道修正をしていく作業をするのです。

これはカウンセリングの面談でも用いられる方法ですが、日常のなかでもエクササイズ的に取り入れることができます。

次に、認知療法・認知行動療法の具体的な方法を簡単に紹介します。

①悩みや問題点、強みや長所を洗い出して、どのように改善したいか方針を立てます。

②次のような方法を使って生活のリズムをつけていきます。毎日の生活を振り返って無理のない形で、

  • (a)日常的に行う決まった活動
  • (b)優先的に行う必要のある活動
  • (c)楽しめる活動ややりがいのある活動

を優先順位をつけていきます。

特に、楽しめる活動ややりがいのある活動を増やしていくことは効果的です。また、一定の運動やスポーツを通して自分の心身のコントロール感覚を取りもどし、他の人との関わりを持てるような体験の機会をつくったり、問題解決技法を使って自分の問題に影響していると考えられる問題の解決に取り組んで、適応力を高めていくようにします。

③自動思考に焦点をあてて、その根拠と反証を検証することによって偏りを修正し認知の歪みを修正します(自分はこうに違いない、と考えているけど、根拠はある?別の解釈はできない?といったふうに)。

……いかがですか?認知行動療法については、書籍やウェブコンテンツというかたちでも多くの場所で紹介されていますので、ご興味がありましたら詳しく調べてみてください。

以上、今回は職場の人間関係や仕事に実際活かせる心理学の知識をピックアップしてご紹介しました。ぜひ使えるところから活用してくださいね。

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