途上国における子どもの学校教育の現状について現地NGO職員が語る

途上国における子どもの学校教育の現状

途上国における子どもの学校教育の現状は?日本の学校教育との違いは?学生の間でもブームとなっている「国際協力」ですが、意外としられていない途上国の子どもたちを取り巻く現状を、現地NGO職員がご紹介していきます。

    目次
  • 途上国の学校教育
  • 先進国と途上国の大きな違い3つご紹介
  • 子どもたちが教育を受けるうけで必要な環境とは
  • 現状から考える今後の可能性

途上国の学校教育

途上国の教育現場というと、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか? 掘っ立て小屋のような校舎、レベルの低い授業、そもそも教育を受けられる施設がなさそう、子どもたちが痩せている・・・など、そんなイメージを持っていらっしゃる方も少なくないのでしょうか?

実は途上国の多くは貧富の差が非常に大きく、「途上国での教育現場・学校教育」と一概に言っても、最新設備の整った素晴らしい施設で教育を受けられる子もいれば、嵐が来れば吹き飛んでしまいそうな学校に通う子どもたちもいます。

今日は、筆者の住む、「アジアのラストフロンティア」ミャンマーを中心に、途上国の教育と子どもたちを取り巻く現状をお伝えしていきます。


先進国と途上国の学校教育の大きな違い3つご紹介

第一章でお伝えした通り、途上国の学校教育といっても、一概に語れない部分があります。この章では、途上国の中の貧困層にフォーカスして、先進国との大きな違い3つをご紹介していきます。

情操教育の有無

情操教育は、子どもたちの個性や想像力を伸ばし豊かな心を育てる教育であり、道徳的な意識を育むためのものでもあります。現在、仕事の多くが機械化される中で、「想像力」や「個性」を育み、それらを表現する方法を見出すことは、これから社会に出ていく子どもたちにとってとても重要なポイントとなります。また、テロや移民の問題など、様々な国際問題を目の当たりにしたときに、多角的に物事を見られる視点や、道徳心を持っていることは自ずと求められてくるでしょう。

現在日本では、音楽・美術・体育の授業や課外授業などを取り入れて、積極的に情操教育を行っていますね。 しかし、多くの途上国では、「国語・算数・理科・社会・英語」の5科目のみの授業が繰り返し行われます。それはなぜでしょうか?これには、次にお伝えする”指導者”の質が大きく関わってきます。

学校の先生になるための資格

途上国の中には、学校の教員になるための資格は存在しません。 例えばミャンマーでは、高校卒業試験に合格すると公立学校の教師になることができます。特に、主要都市以外の貧困地域では、無事に高校卒業まで行き着く子どもたちが少ないため、高校を卒業さえすれば引く手あまたです。また、高校を卒業していなくても、私立学校であれば教師として雇ってもらえる可能性があります。

また、経済発展をしている主要都市内であっても、教師の給与が安いために良い人材が集まらない傾向にあります。そのため、「国語・算数・理科・社会・英語」の主要5科目のみを学んできた生徒が先生になり、その先生から学ぶ子どもたちも5科目以外を知らずに育つ、という連鎖が生まれます。 一方で、経済的に余裕のある子どもたちは設備の整った私立学校やインターナショナルスクールで国際的に通用する教育を受け、良い職につきます。

途上国の義務教育の実態

途上国の中でも義務教育の制度が設けられている国は、意外と少なくありません。 しかし、日本人の感覚からすると「それって本当に義務教育と呼べるの?」と感じることがしばしばです。

  • 家族が貧しく、幼い頃から働かなければならず学校に通えない
  • 女の子だという理由から、学校教育を受ける意味がないとみなされる
  • 授業を受ける態度が悪く、小学生でも退学させられる

このようなことが少なくありません。そして、仕事をしようにも、児童労働が禁止されている場合には堂々と仕事をすることもできず、家族の手伝いや物乞いのようなことをして過ごす子どもたちもいます。

子どもたちが教育を受けるうけで必要な環境とは

子どもたちが学校教育を受けるには、ただ単に「徒歩で行ける距離に学校があれば良い」というわけではありません。この章では、途上国で実際に見かけた問題をご紹介します。

親の教育レベルの重要性

こういった問題を解決するには、親が正しい知識を持っていることが重要です。しかし、子どもたちを教育する以上に、親へのアクセスや意識を変えることは難しいのが現状です。

現状から考える今後の可能性

ここまで途上国の子どもたちを取りまく厳しい学校教育の現状をご紹介してきましたが、今後の可能性については、少し期待の持てるお話をしたいと思います。

情報へのアクセスが鍵

皆さんご存知の通り、「今や繋がれない場所はない!」と言っても間違いではないほど、好きな時間・好きな場所へインターネットでのアクセスが可能になりました。それは、途上国でも同じです。

途上国では、ビジネスチャンスを掴もうと参入してくる外資企業をターゲットに、インフラの整備が急速に整っていくことがあるのです。この恩恵は国全体に及びます。 それまでは、自分の目の前にある環境の中でしか情報を得られなかった子どもや両親、先生が様々な情報を目にする機会に恵まれることで、片田舎の小さな学校からですら大きなイノベーションが起こり得ると思いませんか?

自然の中で育まれる豊かな心・独創性のもつ可能性

途上国では、核家族が少なく、家族や親戚の結びつきが日本よりも強い傾向にあります。また、自然に囲まれて育つことも多く、子どもたちの心はとても豊かに育まれていることもあります。「情操教育」の果たすべき役割の一部分は、既に充分に備わっているということです。あとは、それを表現に変えていくだけ。

グローバル化が進む現在の社会の中では、先進国の教育の影響はかならず途上国にも波及しますので、時間とともに教育水準はあがっていきます。途上国で育った子どもたちが見てきたもの、感じたことを使って、社会で勝負する姿を見られる日は遠くないのかもしれません。

最後に

「国をつくるのは、教育」と言われる程、途上国の子どもたちを取り巻く学校教育は重要です。たくさんの人が興味を持つことが、教育を変え、国を向上させることにも繋がります。ぜひ機会があれば、途上国の学校や、教育を支援している団体を実際に訪れてみてくださいね。

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